無量寿経

『無量寿経』のあらすじ

(一) 説法の座と聴衆

    お釈迦さまは、王舎城の耆闍崛山にいらっしゃり、
    数多くの弟子とすばらしい菩薩に囲まれていました。
    その日、お釈迦さまの姿はたいへんうるわしくいらっしゃいました。
    弟子の阿難尊者がそのわけを尋ねると、
    お釈迦さまは次の教えを説くためであるとおっしゃいました。

(二) 法蔵菩薩の本願

    「昔むかし、世自在王仏(せじざいおうぶつ)という仏がいらっしゃいました。
    ある国王が世俗を捨ててその仏の弟子になり、法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)と名乗りました。
    法蔵菩薩は仏をほめたたえ(※1)、すべての衆生を救いたいと言いました。
    仏が数々の仏の国を示すと、法蔵菩薩はそれについて五劫という長いあいだ思惟しました。
    それをもとに48の誓い(本願)をたて(※2)、修行を重ねて48の本願を実現しました。
    十劫というとてつもない昔のことです。」

(三) 阿弥陀仏と浄土の世界

    「いま西方の安楽という世界にいらっしゃり、その名は無量寿仏(=阿弥陀仏)です。
    その世界は数々の宝から成り、その光はすばらしい力を持ち(※3)、その寿命は無限です。
    その国には多くの聖者がおり、宝の大樹があり、きらびやかな建物があります。
    諸々の苦痛がなく、人々は神通力を使い、色鮮やかな蓮華に満ち、すべてが法を説いています。
    その国の人は悟りに向かって後戻りすることなく、念仏すれば人はこの国に至ります。」

(四) 往生の方法と往生者の姿

    「この国に生まれる人に上・中・下の三種類があります。
    上の人は、出家してあらゆる仏道修行をおさめて、この国に生まれようと願います。
    中の人は、在家のままで仏を拝んで功徳を積んで、この国に生まれようと願います。
    下の人は、まったく功徳を積まなくとも仏を念じて、この国に生まれようと願います。
    世界中の仏が、無量寿仏を供養しその国に行きなさいと、弟子たちに勧めています(※4)。
    その国では観音菩薩・勢至菩薩が人々を教え導き、
    その国の人々は、自由自在に仏を敬い、法を聞いて、悟りを得ます。」

(五) この世の悪

    お釈迦さまは弥勒菩薩に言いました。
    「このようにすばらしい無量寿仏の国にあなた方は生まれるべきですが、
    逆に今この世界では、人々が殺し合い、規律を破り、寿命に限りがあり、嘘をつき、怠けます。
    その報いとして現世では罰を受け、来世では苦しい生を受けます。
    だからこの世は今回で終わらせて、無量寿仏の国を願うべきです。」

(六) 見仏・見土と信心

    そのとき阿難尊者は無量寿仏を拝んで、その国を見たいと願いました。
    すると無量寿仏は光を放ち、その国が見えたのでした。
    お釈迦さまは確認させました。
    「その国には金の宮殿の中に五百年のあいだ閉じこめられる者がいるでしょう。
    それは仏の智慧を疑った者たちで、五百年間、仏に会えず、教えも聞けません。
    仏の智慧を信じた者たちは、宝の蓮華の中に生まれて、すぐに教えを聞けます。
    私たちの世界からは67億の菩薩、その他数えきれない人々が、その国に往生しました。
    それ以外に、いろいろな世界から、数えきれない人々が往生しました。」

(七) 弥勒への付属と説法の終わり

    「無量寿仏の名を聞いて歓喜して一念すれば、これはおおきな功徳です。
    弥勒よ、この教えをあなたに授けます。信じて、人に説き、自らも行じなさい。
    この教えは、あらゆる教えが滅びたのちも百年間、この世にとどまるでしょう。
    この教えを聞いて、これを信じて、たもち続けるのは、難しいうえにも難しいことですから
    この通りに信じて、この通りに実行しなさい。」
    そのとき、聴衆はみな信心を起こして種々の悟りを得、
    奇瑞が起こって、聴衆たちは喜びました。
    

※1 歎仏頌
※2 四誓偈
※3 光明歎徳章
※4 讃重偈